金色機械 恒川光太郎 著
これまで読んだ恒川光太郎作品の中で一番好きだったかもしれない。
舞台は江戸時代。触ると人を殺すことができる娘が主人公。彼女は医者の家で育てられていたものの、本当は拾われた流浪の民の子だということを知って、親を殺した犯人の仇の旅に出る。
その道中で金色様や遊郭の主人である熊悟朗に出会って物語が進んでいくというお話。
この小説で初めて知ったけど、江戸時代SFみたいなものは伝奇小説というんだって。
金色様は恐らく未来人が何らかの理由で江戸時代に置いていった産物で、どんな人間も力・知能ともに敵わない最強のロボット。
これまで恒川作品は「よくわからないけど不思議」というふわっとした印象があった。あまり生々しくなくて、何かを考えさせられるとか心を揺さぶられるという印象ではなかったけど、この作品では揺さぶられたなあ。
読了後は「あぁ、切ない」「誰にでも正義があるんだよなあ」「みんな次の生では幸せになって欲しいなあ」としんみり思う、そういうお話。フィクションだけどな。
この本は夜眠る前に楽しみに読んでいたので、読み終わって少し寂しいけども、次の作品をまた楽しみにしよう。
滅びの園 恒川光太郎 著
最近恒川光太郎にハマっている。
特段ストーリーが好きとか、あっと驚くような技巧があるとかいうわけではないけども、彼が描く不思議な世界観が、わたしが求める不思議さとぴったりマッチしていて、既に先月から10冊ぐらい読んでいる。
今回は恒川作品で初めて読んだSFもの。
しがないサラリーマンである主人公が電車を降りると、見知らぬ街に辿り着くが、実はその街は地球を覆う地球外生命体と思われる物体の中にある想念の世界だったという。
外の世界(地球の現実世界)ではその生命体が発するプーニー(ミルクプリンみたいなものと想像)が大量発生し、そのそばに寄ると健康を害したり、誤って口にするとほとんどの人が死ぬので大災害となっており、人類は大元となる生命体を破壊するために、生命体の核の近くに浮遊する主人公を破壊作戦に取り込もうとする。
割と設定がぶっ飛びすぎて、特にどの登場人物にも感情移入はせず。あと妖怪とか異世界みたいな不思議系は好きだけど、宇宙人系はあんまり興味がなかったから、自分にはあんまり刺さらなかったな〜。
人材が先、事業は後(インタビュー) DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文 藤田晋
こっれは非常に興味深かった。
終身雇用を掲げるサイバーエージェント、時代に逆行するようで、どう運用しているのか気になっていたけど、なるほどねというようなアレンジを加えて、確かにその制度なら社員もデモチせずに仕事を頑張れるかもと感じる。
特に印象に残ったところだけ割愛してメモを書くと以下の通り。
まずは事業戦略に伴って、人材を採用するのではなく、若くて優秀な人材を取るために、そういう人たちが面白がるような事業を作るようにしているらしい。
あとは「CAJJプログラム」という各事業を利益規模に応じて昇格、降格、事業撤退の基準を明文化したもので、その範囲で自由に子会社を作ることができるらしい。
自分も優秀な若手をさらに大成させるには結局子会社の社長をやらせるのが一番良いのではないかと思っていたので、本当にこれは良い施策。
でも抜擢登用するのはずば抜けて優秀な社員ではなく、素直で一生懸命で責任感がある子。もっとも、構成要素が多く経験や知識がものをいう事業領域は抜擢登用はしないが、比較的新しい領域でやることはそんなに難しくなく、上記の素質がある社員であればなんとかやれてしまうらしい。
終身雇用のアレンジとしては年功序列の制度は徹底的に排除していること、そしてどうしても会社が求めることと社員の能力が見合わない場合はイエローカード2枚で退職勧告をするという制度も退職金制度とセットで導入している。
ああ、自分も若い時にこんな会社で働いてみたかった。それはもう叶わないから、自分が会社を作る時は真似させてもらおう。
心を鍛える 藤田晋・堀江貴文 著
サイバーエージェント研究第二弾が表題の『心を鍛える』
藤田さんとホリエモンの対談形式(?)で交互に短いエピソードが記載されているため読みやすい。
藤田さんのエピソードは『渋谷ではたらく社長の告白』とほとんど同じところも多いが、ホリエモンのエピソードは知らなかったところも多く興味深かった。
特にまたここでも!ホリエモンがUSEN宇野さんに助けられたと言っていて、「なるほど〜宇野さんってこの界隈のアニキなんだな〜」と思ったり。
テーマは心を鍛えるということだけれども、おふたりともなにかに挑戦し、熱中し、困難から逃げなかったというところが共通しているのだと思う。正直凡人からすると羨ましく感じる。
それにしてもおふたりのいちゃつきが垣間見えてほっこりした。
堀江さんが出所したときは、おかえりの手紙を置いておき、高級鮨をテイクアウトし、家でふたりで食べたのだとか。羨ましい友情だ。
渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉 藤田晋 著
最近Kindle端末を手に入れた。スマホやタブレットで読むのとは違い、恐ろしく読みやすく、本を読みまくっているため、またこの読書記録ブログに戻ってきたという経緯。
主にスマホで書くことになりそうなので、簡単な感想メインで。
自分が理想とする経営を考える時に、なんとなくサイバーエージェントに辿り着いた。そのあとは特に深掘りしていなかったが、SNSで好きな経営者がサイバーエージェントは素晴らしい会社だと言っていて、改めて関連書籍をまとめて購入。その第一弾が表題の『渋谷ではたらく社長の告白』。
生い立ち、学生時代、サイバー立ち上げから上場後までが描かれているが、なまじドキュメンタリーなので臨場感がすごく、読んでいると動悸がする。
最初は大切な人を裏切るようなことも、一歩間違えば詐欺的なこともしているけども、ここまで来るには確かにこの決断ができる、胆力がある人でないと無理だったろうなと思わされる。
意外だったのはホリエモンや現USENの宇野さんとの関係性。特にUSENの宇野さんのことは恥ずかしながら詳しく存じ上げなかったのだが、インテリジェンスの創業者で藤田さんの良きメンターだったことを初めて知った。
そもそもサイバーエージェントが当初インテリジェンスの子会社で、藤田さんが社長になるよう勧めたのも宇野さんだったとか。
なるほど、そういう背景があったのか。
とにかく藤田さんに関しては奥菜恵と結婚していた人ぐらいしか知らなかったのだが、ご本人も起業するときに『ビジョナリーカンパニー』に影響を受けたと言っているように、非常に志高い人のようだった。
自分も何かやりたいことがあって起業するというよりは、起業したくてなにかできることを探しているという感じなので、その点は藤田さんの考え方が参考になる。
簡単にスルスル読める本だったが、当時の熱気が伝わってきてこちらまで何かを始めたいと思う良書だった。ぜひ若い人に読んでほしい。
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル ティエン・ツォ著
『サブスクリプション』を読んでいる途中で「読書記録をつけておこう」と思い立ったので、この本に関しては途中からの記録になる。
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
- 作者: ティエン・ツォ,ゲイブ・ワイザート
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/10/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
★アドビ、ネットフリックス、コマツ、フェンダー、ニューヨークタイムズ…
★急成長をとげる継続課金(リカーリング)ビジネスの全貌と導入ガイド
★サブスクリプションは単なる課金形態の変更ではなく
★ビジネスモデルの変革である――
★サブスクリプション・ビジネスの支援で世界をリードする
★Zuoraの創業者兼CEOが初めて明かす!
★「USAトゥデイ」「LAタイムズ」ベストセラー!!
【メモ】
◆ P234
営業活動は顧客に教えるという意味合いが大きい。その意味で、「わが社にはあなたと同じようなお客様がたくさんおられます。サービスについて細かいお話をする前に、お客様と同じ業界で他の企業が実行していることから学んだベンチマークとインサイトについてお話させてください」と言えるようにしておくことが重要なのである。
◆P239
自社のサブスクリプション・サービスが成功しているかどうかを判断する簡単な方法は、解約率が抑えられているかどうかを見ることだ。
◆P246
長期的なアップセルおよびクロスセル戦略は、短期的には顧客価値を高め、間接的にはビジネスの長期的な成功を促す。それはどういう意味か。成熟したサブスクリプション・サービスでは、アップセルとクロスセルによる収入が収益全体の平均20%を占めている。しかも、ちゃーん率の低下という好まし効果も付随するので、顧客獲得に要するコストも低下する。
◆P248
ボックスのアーロン・レヴィCEOが同社の考えを簡潔に語ってくれた。「とにかくサービスはできるだけ簡単に採用できるようにしておくこと。同時に大企業が全社で採用しても耐えられるものにしておくことだ。」
◆P254
サブスクリプション・サービスのライフサイクル全体を通して、平均的な経営陣がプライシングのために使う時間はどのくかいか、考えたことがあるだろうか。(中略)1社あたり10時間以下だという。」
◆P300
8つのサブシステム「PADRE」の概要図 参照
はじめに
読んだ本で心に残ったところを記録していこうと思う。
時間に余裕があるわけではないので、要約や感想などは書かずに、
単純に記憶しておきたい部分を書き写すだけ。
本当はkindleで読んでマークしておけば一番効率が良いのかもしれないが、
割と過激なデジタル化厨のわたしでも読書だけはどうしてもデジタル化できないため、
こうやってせっせとブログに書き写す手法にする。
きっかけはふと最近「今年読んだ本で面白かったのは何かなあ」と振り返った時、
田中靖浩著『会計の世界史』が面白かったなあと思い出し、
手に取って読み返してみると全く内容を覚えていないことにショックを受けたこと。
もはや「面白かったなあ」という記憶しか残っていなかったのである。
だからこうやって記録しておくことで脳にも少しは記憶されることを期待して。